大津の住宅

見え隠れする庭と緑景

丘陵地を造成した住宅地の一画に計画した5人家族のための住宅。
ゆったりとした広さのある敷地の南側には、緑豊かなため池が存在していた。一方でこのため池は将来的に住宅地として開発される可能性もあり、永続的な風景とは言えない難しさがあった。南側の緑に正対するように庭、リビングを配置する一般的なプランとすると、将来的に隣家がリビングの窓の前に建てられてしまう可能性がある。一方東側の隣地とは高低差があり、プライバシーが確保できるような敷地状況であった。

そこで敷地の東南側にプライバシー性の高い庭を設け、この庭と南側の緑景それぞれとつながるように雁行型のプランを計画した。あえて南側のため池の緑景には正対させず、東南方向に斜めに開くように方向性を向けることで、南の緑を取り込みつつ、将来的にため池の宅地開発が進んだ場合も、プライバシーと視線の抜けを確保できるように計画している。

ひとつながりの屋内空間が雁行していくことで、場所によって東南の庭や南のため池との関係性が変化し、見える景色もそれぞれに異なってくる。さらに天井の形状や素材、建具によって領域分けを行った。結果として、風の抜ける半屋外のテラス、庭と緑景に開かれた開放的なリビング、光を絞った落ち着きのある和室、南面の開口に正対し緑を望みながら料理のできるキッチンなど、連続したひとつながりの空間でありながら多様な居場所が生まれている。
個々がそれぞれ好きな空間で過ごしながら、家族の気配や屋外とのつながりを常に感じられる暮らしが展開されている。



構造設計:MOF
施工:内田組
写真:貝出 翔太郎
敷地:滋賀県大津市
規模:木造2階建