北のやわらかな光を取り込む高窓

北向きの窓は一般的にあまりよくないイメージを持たれますが、直射日光が入らないことが利点となる使い方もあります。
室内の上部から北面のやわらかな光を取り込むことで、光が拡散され室内全体を明るくすることができます。
周囲を建物に囲まれた新森の住宅のリビングではこの方法で明るい室内空間をつくりました。
北に接する建物は2階建ての切妻屋根となっていたため、北に向かって上がる片流れ屋根とすることで隣家の屋根より高い位置に窓を設けることができました。

周囲の視線が入らない状態で空に向かった連続窓をつくり、北面の光を取り込んでいます。
2階の屋根付近と1階の温度差によって、吹き抜けから高窓に向かって風が上昇し抜けていく煙突効果も担っています。
直射日光も入らず周囲の視線も遮られているため、日中・夜共にカーテンを設けず開放的に過ごされています。

上のパースは東西面に高窓を設けることを検討していた時のものです。
こうすると屋根が2段となるため、コストがかかる上に朝夕で直射日光が入りあまり快適な室内にならないことが予測できました。
どうしようかと悩みながらもう1度敷地の周囲を見直すと北に抜けを発見し、かつ単純な片流れで高窓を設けることができることに気づき、最終案へと収束していきました。